仕事の悩み・退職 ・ 監修 中町しずく ・ 更新日 2026-07-18
退職代行を使われたら会社側はどうなる?連絡は来る?本人・会社両方の視点で解説
ある朝、会社に「退職代行の〇〇と申します。御社の△△さんの退職についてご連絡しました」という電話が入る——。退職代行を「使われた側」の会社にとっては突然の出来事ですし、これから「使う側」の本人にとっては「会社はどう反応するのか」「自分に電話がかかってきたりしないか」がいちばんの不安です。
この記事では、退職代行の連絡が入ったあと会社側で実際に何が起きるのかを時系列で整理し、会社は拒否できるのか、本人への連絡はあるのか、貸与物や書類はどうやり取りするのかまで、会社側と本人側の両方の視点で解説します。会社側の動きが具体的に分かれば、「使ったらどうなるか分からない」という漠然とした不安はかなり小さくなるはずです。
退職代行の連絡が来たとき、会社側では何が起きるのか
まず、会社側の視点から見た一連の流れです。多くのケースで、対応はおおむね次の3段階で進みます。
- 受電・受信。始業前後の時間帯に、代行サービスから電話(またはFAX・書面)で連絡が入ることが多いです。担当者はサービス名を名乗ったうえで、従業員の氏名・所属と「本日付で退職の意思がある」「以後の連絡は当サービスを窓口にしてほしい」という趣旨を伝えます。このとき同時に、有給消化の希望や退職希望日、貸与物を郵送で返却する予定であることなども伝達されます。
- 本人の意思確認。会社側として最初に確認すべきは「本当に本人の依頼か」です。いたずらやなりすましの可能性を排除するため、代行サービスの多くは本人が署名した退職届や委任の事実が分かる書面を後日郵送します。会社が本人の意思を直接確かめたい場合も、代行経由で確認するのが通常の運びです。ここで雇用形態(正社員か契約社員か)や就業規則の退職手続きを確認し、対応方針を決めます。
- 事務手続き。本人の意思が確認できたら、あとは通常の退職処理と同じです。退職日の確定、最終給与や残業代の精算、社会保険・雇用保険の資格喪失手続き、離職票や源泉徴収票の発行準備、貸与物の回収と私物の返送。担当部署にとっては、窓口が本人から代行に変わっただけで、やること自体は普段の退職対応と大きくは変わりません。
ポイントは、会社側の対応の大部分が「淡々とした事務処理」だということです。ドラマのような修羅場を想像する人が多いのですが、実務の現場では「驚くのは最初の5分、あとは粛々と手続き」というのが実情に近いと言えます。
会社は退職を拒否できるのか
「代行なんて認めない」「本人が来ないなら退職させない」と会社が突っぱねたらどうなるのか。ここは制度の原則を押さえておきましょう。
期間の定めのない雇用契約では、労働者はいつでも退職を申し入れることができ、申し入れの日から2週間を経過すると雇用が終了するのが民法上の原則とされています(民法第627条(e-Gov法令検索))。退職に会社の「承認」は要件とされておらず、会社が拒否や引き止めをしても、退職の意思表示が会社に到達していれば手続きは進んでいく、と一般に説明されています。
つまり会社側から見ると、拒否して時間を稼ぐ実益がほとんどないのです。在籍が長引けば社会保険料の負担は続き、出社しない従業員の穴埋めも進められず、感情的に対立すれば口コミサイトなどで悪評が広がるリスクも増える。だからこそ、実務では大半の会社が受理して事務処理に移ります。
一方で、本人側が知っておくべき注意点もあります。会社が「退職日をずらしてほしい」「有給の扱いを相談したい」と条件のすり合わせ(交渉)を持ちかけてきた場合、民間企業運営の代行はこれに応じることが原則できません。弁護士でない者が報酬を得て法律事件に関する法律事務を扱うことは禁じられているためです(弁護士法第72条(e-Gov法令検索))。
交渉まで対応できるのは団体交渉権を持つ労働組合運営か弁護士運営のサービスで、この違いは民間・労働組合・弁護士の3タイプの違いを解説した記事で詳しくまとめています。会社が強硬な社風なら、最初から交渉できるタイプを選んでおくのが安全です。
本人に会社から直接連絡は来る?
使う側にとって最大の不安がこれでしょう。結論を先に言うと、代行は会社に「本人への直接連絡は控えてほしい」と依頼しますが、これはあくまで「お願い」であり、会社からの連絡を法的に禁止するものではありません。そのため、連絡直後に上司や人事から本人の携帯に着信やメッセージが入るケースは、実際にゼロではありません。
ただし、ここで押さえてほしいのは次の3点です。
- 電話に出る義務はない。会社からの着信に応答しなくても、退職の手続きが止まるわけではありません。意思表示はすでに代行経由で会社に到達しています。着信があったら出ずに、その旨を代行に報告すれば、代行から改めて「連絡は当方へ」と会社に伝えてもらえます。
- 連絡が来るのはほぼ初日だけ。会社側の連絡は「本当に本人の意思か確認したい」という初動の動きが大半で、書面で本人の意思が確認できれば収まっていくのが通常です。何日も鳴り続けるケースはまれです。
- 実家や緊急連絡先への連絡もまれにある。本人と連絡が取れないとき、緊急連絡先に確認の電話が入ることがあります。心配な場合は、申し込み時に「家族への連絡も控えてほしいと伝えてください」と代行に依頼しておき、家族には一言「退職手続き中で、会社から電話が来ても対応不要」と伝えておくと安心です。
まれに、会社が自宅を訪問してくるのではと心配する人もいますが、実務上ほとんど起きないと言われています。こうした「うまくいかないケース」のパターンと防ぎ方は、退職代行が失敗するケースをまとめた記事で詳しく解説しています。
貸与物・書類のやりとりはどうなる|郵送での実務
「保険証やPCを返しに、結局一度は出社しないといけないのでは?」——ここも郵送で完結できます。退職の手続きに本人の出社が必須とされているわけではなく、実務では次のように処理するのが標準的です。
- 会社に返すもの(本人→会社)。健康保険証、社員証・入館証、貸与PC・スマホ、制服、鍵、名刺(自分のもの・預かったもの)など。退職届と一緒に、追跡できる方法(レターパックや宅配便)で郵送します。精密機器は緩衝材を入れ、送り状の控えを保管しておくと「返した・返さない」のトラブルを防げます。
- 会社から受け取るもの(会社→本人)。離職票(失業給付の手続きに必要)、源泉徴収票(転職先での年末調整や確定申告に必要)、雇用保険被保険者証、年金手帳(会社に預けている場合)。いずれも郵送で受け取れます。代行への依頼時に「郵送を希望」と明確に伝えてもらいましょう。
- デスクの私物。会社に残した私物は、着払いで自宅へ送ってもらうよう代行経由で依頼するのが一般的です。処分してよいものは「処分で構いません」と伝えると、会社側の手間も減って角が立ちにくくなります。
会社側にとっても、退職代行への対応はもはや珍しい業務ではなく、郵送でのやり取りは半ば標準化しています。「出社しないと手続きできない」と言われた場合も、代行経由で郵送対応を依頼すれば足りるケースがほとんどです。
使う前に会社の反応が不安な人へ|会社側の実情を知れば怖くない
ここまで会社側の動きを見てきて、気づいた方も多いと思います。会社側の対応は、思っているよりずっと事務的です。
そしてもうひとつ重要なのが経験値の差。あなたにとって退職代行は人生で一度あるかないかの大ごとでも、代行サービスは同じやり取りを日々何件も処理しています。会社側の想定される反応も、切り返しのパターンも織り込み済みです。
「怒鳴られたらどうしよう」「気まずくならないか」という不安のほとんどは、矢面に立つのが自分ではなく代行になった時点で解消される種類のものです。
それでも残るのは「自分の会社・自分のケースで揉めないか」という個別の不安でしょう。これは記事では答えが出せない部分なので、無料相談で状況を伝えて見立てをもらうのが早道です。実績と体制で選ぶなら、次の3社が定番です。
退職代行Jobs:労働組合と連携しており、会社が退職日や有給の扱いで渋った場合に組合経由の交渉へ切り替えられる。24時間受付・即日対応で、「会社が強く出てきそうで不安」という人がまず相談しやすい1社。
→ 退職代行Jobs(公式・無料相談はこちら)
退職代行ニコイチ:創業が古く退職実績の件数が多い民間運営の定番。豊富な対応経験があるぶん「うちの会社はこう言ってくるはず」という不安に具体的な見通しを返してもらいやすい。会社が素直に応じそうなケースならシンプルに使いやすい。
→ 退職代行ニコイチ(公式・無料相談はこちら)
弁護士法人みやび(弁護士運営):損害賠償をほのめかされている、未払い残業代がある、すでに会社と揉めているなど、法律トラブルの気配があるケース向け。法律事務として一括で任せられる最終手段。
→ 弁護士法人みやびの退職代行(公式・無料相談はこちら)
3社とも相談は無料なので、「使うかどうか決める前の情報収集」として使って構いません。そもそも退職代行を使うべきかどうか、料金相場を含めた全体像から考えたい人は、退職代行の選び方と比較の記事を先に読んでください。
同僚・上司にはどう伝わるのか
「退職代行で辞めたことが社内に知れ渡るのでは」という不安もよく聞きます。実際には、社内への周知は「〇〇さんは一身上の都合により退職しました」という定型の案内にとどまるのが一般的です。
退職代行を使った事実を全社にわざわざ公表する会社はまずありません。会社にとっても「代行を使われた」と広めることにメリットがないからです。
ただし、直属の上司と人事担当者は経緯を知りますし、当日の電話を近くで聞いていた人から噂レベルで伝わる可能性は否定できません。ここは割り切りが必要な部分ですが、辞めたあとの生活に実害が及ぶ場面はほとんどないと考えてよいでしょう。
転職活動への影響を心配する人もいますが、会社が退職の経緯を転職先に伝える公式な仕組みは基本的になく、退職者の情報をみだりに漏らすことは会社側にとってもリスクのある行為とされています。面接で退職代行の利用を自分から申告する必要もありません。
会社側の反応が分かって不安が軽くなったら、次に考えるべきは「辞め方」ではなく「次の選び方」です。せっかく勇気を出して環境を変えるのに、また同じ理由で辞めたくなる職場を選んでは意味がありません。
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退職代行を使われた会社側・使う本人のよくある質問
Q. 会社が退職代行の連絡を無視したらどうなりますか?
退職の意思表示は会社に到達した時点で効力が生じると一般に説明されており、会社が電話や書面を無視しても退職の申し入れ自体がなかったことにはなりません。期間の定めのない雇用であれば、申し入れから2週間の経過で雇用が終了するのが民法上の原則です。
会社側にとっても、放置すると社会保険の手続きや離職票の発行が遅れて余計なトラブルの種になるため、実務では受理して粛々と処理する対応が一般的です。
Q. 会社から「本人が出社しないと手続きできない」と言われたら?
退職の手続きに本人の出社が法律上必須とされているわけではない、と一般に説明されています。退職届の提出は郵送で、貸与物の返却も郵送で行えますし、離職票や源泉徴収票の受け取りも郵送で対応できます。「顔を見て話したい」という会社側の希望に応じる義務があるとまでは言えず、出社を求められた場合も代行経由で郵送対応を依頼するのが現実的です。
Q. 損害賠償や懲戒解雇をほのめかされたら?
退職代行を使ったこと自体を理由とする損害賠償請求が認められるのは考えにくい、と一般に説明されています。実際に請求まで至るケースはまれで、引き止めのための脅し文句として使われることが大半です。
ただし、無断欠勤を長期間続けた末の退職や、重要な引き継ぎを一切拒否したなど別の事情が絡む場合はリスクがゼロとは言えません。金銭的な争いに発展しそうな場合は、法律事務として対応できる弁護士運営の退職代行に相談するのが安全です。
Q. 退職後に離職票や源泉徴収票が届かない場合はどうすればいいですか?
まずは代行サービスのアフターフォロー期間内であれば、代行経由で発行を催促してもらいましょう。多くのサービスは退職完了後も書類関係のフォローに対応しています。
それでも届かない場合、離職票についてはハローワークに相談すると会社への確認を行ってもらえると一般に案内されています。源泉徴収票は税務署への相談窓口があります。書類の未発行は会社側にもリスクがあるため、督促すれば発行されるケースがほとんどです。
※本記事で紹介する退職代行サービスにはPRを含みます。サービスの利用(相談)は無料です。